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?アメニティが高く、人々に潤いと安らぎを与える港
●良好な景観の積極的な形成
●物流、産業、生活機能を充実させつつ、使いやすく美しい港の整備
●親水性を活かした緑地の整備、歴史的港湾施設の保全
?環境への負荷が少なく、環境管理のゆきとどいた港
●港湾の諸活動における省エネルギー、省資源リサイクルの推進
●良好な環境を保つような港湾施設、水域の適切な維持、管理

3. 港湾環境計画の策定

港湾の環境の保全や、生態系、親水性、浄化機能などを積極的に活用した環境創造を総合的、計画的に行うため、港湾環境計画を策定する必要がある。
港湾の整備は、各港の港湾管理者が策定する港湾計画に従って進められる。この港湾計画は、港湾法に基づき、目標年次における港湾の能力とそれに対応する港湾施設の規模と配置、港湾の環境整備と保全、土地利用、その他基本的な事項を定める港湾のマスタープランである。
一方、港湾環境計画は、港湾管理者が、計画、設計、建設、利用の各段階で行う環境施策や配慮を総合的、計画的にとりまとめるものであり、環境整備などそれぞれの具体的な施策を実施する上での指針となるものである。
昨年11月に愛知県三河港及び沖縄県中城湾港において、全国に先駆けて港湾環境計画が策定された。
三河港においては、閉鎖性の高い湾域にあって海域環境が悪化しつつある現状を改善し、鳥類等の貴重な生息場所となっている干潟を保全することが、また、中城湾港においては、開発地域と隣接する干潟に生息する貴重な生物の生息環境の保全を図ることがそれぞれ重要な課題であり、これへの取り組み方針が港湾環境計画としてとりまとめられた。

4. 環境管理の充実

4−1. 港湾における理境の管理
港湾管理者は、港湾環境計画に基づき、良好な環境の保全を図るとともに、関係機関の協力をえて、環境を的確に把握し、適切な環境の管理に努める。
もとより、港湾環境への負荷の抑制や改善を図るためには、港湾管理者自らの施策のみならず、下水道の整備・高度処理の実施や河川の浄化対策などとも調整を図る必要があり、港湾を利用し、あるいは港湾に立地する企業や他の行政の施策との連携や協力関係の強化を図る。
4−2. 港湾産設における環境負荷の抑制
港湾建設においては、適切な不法や工期の選択、汚濁防止膜の敷設など環境対策の実施により、環境への負荷の抑制に努める。
また、環境へ負荷の少ない建設技術について、民間技術の開発支援を含め、積極的に開発を行う。
さらに、建設中は、環境への負荷を的確に把握する必要があり、このため、水質など必要な環境項目について監視を実施する。
4−3. リサイクルの推進
港湾の開発、利用によって生じる様々な副産物(石炭灰、スラグ、浚喋土砂、コンクリート塊など)を港湾建設のための再生資源として活用し、港湾整備や港湾現境の創造などに際して、積極的な再利用を進める。
このため、再利用技術の開発、情報の交換、研究開発の推進を進めるとともに、再利用を円滑に推進するための体制づくりに努める。

5. 環境整備の推進

5−1. 環境整備事業の推移
港湾における環境整備事業は、1970年頃から公害防止対策事業として始まったが、本格的なスタートは、1973年に港湾法が改正され、港湾において、緑地や、廃棄物埋め立て護岸の整備ができるようになってからである。
港湾環境整備事案費の推移を図−3に示す。

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fig-3 Chage in the Budgets for the Ports and Harbours Environment Works

5−2. 海域環境施策
港湾における海域環境施策は、有害物質を含んだヘドロ除去という公害対策型の事業からスタートしたが、海域の富栄養化など今日的な課題に取り組むため1985年から海域環境創造事業(シーブルー事業)が始まった。

 

 

 

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